無言の店主の気遣いを知ったはなし
一休さんの虎の屏風の話って、冷静に考えたら正論すぎて誰でも言える説
どうもフジタです。
職場の最寄り駅の前に小さな本屋さんがある。いつも入口のドアは開いたまま。
時々本の配置が変わるから、間違い探しがてら立ち寄っている。
店主はいつもレジに座って本を読んでいる。
お店に客が来ても目を合わせるでも挨拶するでもない。目をぴくりとも動かさずにただただ本を読んでいる。
「チンチンチン・・・・」
路面電車の踏切が閉まる音が聞こえたら、お店をでる。
丁度電車に間に合う距離で時間潰しに好都合なのである。
ある日、いつものようにお店に入ると珍しく店主がおらず、代わりに女性の店員さんだった。
私が入ると「いらっしゃいませ」と挨拶してくれた。
軽くお辞儀して、いつも通り本棚を眺めた。
どれくらい居ただろう。
何気なくスマホを見ると、電車を逃していた。
なんと、踏切音が聞こえなかったのである。
おかしいと思って店を出ようとすると、いつもは開いている入口のドアが閉まっていた。
そうか。
いつも下を向いて本を読んでいると思っていた店主は、多分音で客の出入りを把握していて、きっと私のように電車待ちする客の事を考えて、暑い日も寒い日も入口は開けたままにしてくれていたのだと理解した。
いや、ただの偶然かもしれないが、有難いことには違いないのである。
そう思ったら良い人に思えてきたから、いつか話しかけてみたい。
そんな感じ